ワクワクと感動をドット絵世界に凝縮「マザー2」の魅力を分析

ゲーム歴25年の私が最も多くリプレイしたゲームが「マザー2」
今でも私の中でRPGナンバー1のマザー2の魅力を知っていただきたい。

MOTHER2

マザー2ってどんなゲーム?

マザー2は正式名称「MOTHER2 ギーグの逆襲」というタイトルで、1994年に発売されたスーパーファミコンのRPGである。
前作「MOTHER」はファミリーコンピューター、次作「MOTHER3」はゲームボーイアドバンスで発売されている。

コピーライターとして有名な糸井重里さんがシナリオやストーリーを手掛けており、発売当時に放送されたCMには木村拓哉さんが起用されていた。
キャッチコピーの「大人も子供も、おねーさんも。」の通り、幅広い層の方が楽しめるRPGである。

分かりやすく親しみやすいストーリー

マザー2のストーリーは単純明快。ある日裏庭に落ちた隕石をきっかけに、主人公ネスが冒険に旅立ち、仲間を集め、共に成長していくストーリーである。
セリフは小学生の私にも十分理解出来る分かりやすい表現であった。
また登場人物たちは親近感が沸きつつも、ウィットに富んだ発言をするキャラクターが多く、子供時代のプレイではちょっと大人になった気分になれたものだ。

操作キャラが変わる面白さ

このゲームの中でも特徴的なのが、のちにPTメンバーとなるキャラクターの視点に切り替わるという部分がある。
序盤はもちろん主人公ネスを操作して進めて行くが、ある時遠い地に仲間がいる的な場面に出くわす。
すると今度はその遠い地の仲間の視点に切り替わり、この仲間を操作して話を進める事になる。
各仲間の故郷のストーリー、そこに別れを告げてネスに出会うまでの話も「子供が一人で冒険に旅立つ」というワクワクした気持ちになってたまらないのである。

脇役が一癖も二癖もある

上にも書いたが、このゲームでは癖のあるキャラクターが度々登場する。
主人公と仲間たちは感情移入しやすい平凡に近い性格だが、脇役たちはちょっと違う。
例えば「ヒントのおじさん」という人がいる。この人は主人公たちが訪れる街の全てに滞在する、その名の通り冒険に役立つヒントをくれるおじさんである。

見た目は禿げた中年のオヤジであるが、家の中にポツンと店を構えており「ちょっと待ったヤングマン!たった10ドルで素晴らしいヒントが欲しくないか!?」という様な事を言ってくる。
主人公に合わせて移動しているのか、各町に同じ見た目のおじさんが居て大元が同じ会社で雇われているのか、そう行った想像を巡らすのも楽しい。
他にもアマゾンなどに居るヤバそうなミリタリー系の男は「シッ大きな声を出すな。ブツは揃ってるぜ」みたいな事を言ってきて大人の取引を体感出来る。もちろんこいつから買えるのはミサイルやボムなどである。

敵だけど憎めない

マザー2は敵も面白い奴が沢山居る。
インパクトで圧勝はやはり「ゲップー」だろう。下水管の中にいるボスで見るからにドロドロしていて気持ち悪い。しかもかなりリアルなゲップ音を発するのだ。当時小学生の私には気持ち悪すぎて音を消して戦ったぐらいだが、大人になってプレイすると「本当にリアルだなぁ」と感心してしまう。

お笑い部門でダントツの敵は「3番目のモグラ」だと思われる。
洞窟の中で戦う事になるボスであるが、この洞窟にはモグラのボスが5匹点在する。しかしこのモグラたちは皆が「俺は3番目のモグラだ」と言ってくるのである。
強くもないが弱くもない、自己分析がリアル過ぎるこのモグラたちには毎回笑ってしまう。
その他どう見てもゴキブリな敵の名前が「アレ」だったり、宗教めいた青い奴らも面白いので話しかけてみて欲しい。

サウンドが格好良い

このゲームの素晴らしさはストーリーやギャグだけでなく音楽にもある。
のどかな気分になる街の音楽、軽快なリズムのドラッグストア、モダンな雰囲気のホテルなどなど。
これまでに出会ったRPGとはちょっと違う、昔のコミカルな洋画に出てきそうなノリが良くてちょっと洒落たサウンドはマザー2ならではと思える。
中でも「どせいさん」の住むサターンバレーに向かう時、徐々にサターンバレーのとぼけた音楽が近づいてくる表現などは唸ってしまう。

糸井重里の言葉の魅力

糸井重里さんのコピーと言うと、分かりやすく共感しやすい物が多いと思う。ジブリ作品などのコピーが有名である。そんな人が手掛けたゲームという事だけあって、糸井さんが散りばめた言葉遊びを見つけるのもこのゲームの楽しみの一つと言える。
例えば街の名前を見ていただきたい。最初の街の名前は「オネット」次の街が「ツーソン」、「スリーク」「フォーサイド」と進んでいく。
お気付きの通り、1〜4の英語の番号が付けられているのだ。(オネットはOnettでOne)
町中には風景の一部として看板が立てられているが、この看板も全て何かしら広告のコピーなどが書いてあり、中にはちょっと笑えるものもあるので見ていただきたい。

カッコイイと思う物が技の名前になる

冒険を始める前にRPGのお決まりとも言える名前の入力がある。
マザー2では主人公と仲間3人、飼っている犬の名前を入力する。そして「好きな献立」と「カッコイイと思う物」を入力する。
「好きな献立」は、主人公が家で体力を回復する際に登場する。母親に話しかけると「あなたの好きなハンバーグ(自分で入力したメニュー)作っておいたわよ」と言ってくれるのだ。

最初はハンバーグやカレーなどを入力してプレイしていたが、毎日じゃ飽きるなと思って数回目のプレイからは「ていしょく」と入力した。
のちに実家から離れてホテル暮らしをする事になるのだが、久しぶりに帰って好物を作ってもらうと少しジーンとしてしまう。

そして「カッコイイと思う物」は何かだが、これはのちに主人公が覚える必殺技の名前に採用される。例えば「イチロー」と入力したら、イチローという名の必殺技を使う事になる。
数回目プレイ時は「ストレス」と名付けたので、敵に莫大なストレスを与える恐怖の必殺技となった。何度もプレイする方にはそういった楽しみ方もあるのだ。
後はプレイヤーの名前も入力する。これは主人公ではない自分自身の名前だ。これがどこで登場するかと言うとエンドロールに出てくるのである。
ただでさえ感動するエンディングの最後に、自分の名前が出てくるのはかなり粋である。

技の強さ表現が格好良い

上で技について触れたので、技の強さ表現についても語らせていただきたい。
マザー2では他のゲームでいうところの呪文や特技がPSIという表現となっている。MPと言うのが有名だと思うがマザー2ではPPを消費する事になる。
冒険を進め、レベルが上がっていくと技や呪文を覚えていくが、最初に覚えた技がパワーアップするのはRPGでお決まりだろう。そのパワーアップの表現が格好良いのだ。

上記のカッコイイで決めた技で説明すると、「イチローα(アルファ)」が最初に覚える技となる。それがパワーアップすると「イチローβ(ベータ)」となり、「イチローΓ(ガンマ)」最後は「イチローΩ(オメガ)」になる。
αやβの読み方も意味も分からない当時の私には何だかとても大人で格好良く思えた。大人になった今見ても洒落てるなと思う。

マザー2が教えてくれた事

最後にマザー2が私に教えてくれた事について語りたい。
マザー2は一見普通のRPG、ファンタジーな世界、そんな風に見えるだろう。事実、現実世界を忘れてマザー2の世界にどっぷり浸かる事が出来る中毒性のあるゲームだ。

だが、客観的に見るとマザー2の世界は非常に現実的なのだ。理不尽な事を言ってくる大人がいたり、便利になっていく街に比例して物価が上がったりとシビアな面も多い。自分で稼いだお金をやりくりして有利にストーリーを進める事を考えることは非常に勉強になった。

そして何より、シビアで理不尽な世界で、自分が正しいと思う正義を選択して、仲間を信じて困った人を助けていく、そうして最後に得られるのはかけがえのない仲間と、助けてあげた人たちの信頼があるのがこのゲームからのメッセージであり、私がハマって何度もプレイしてしまう最大の魅力だろう。一番最後のラスボスは、信じる力無しには絶対に勝てない。
コミカルだが深い「マザー2」、大人にも子供にも一度はプレイしてみて欲しい。